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趣味語り:バロック音楽 #11 三種の鍵盤で楽しむ古楽(2018/03/25 ボルファート梨ばろっこチャペルコンサート)

富山のチャペルで
オルガン・ピアノ・チェンバロ
3つの大きな鍵盤楽器が同時に響く

富山県を拠点に、地味に、しかしとてもユニークな音楽活動を
展開されている古楽アンサンブル「アンサンブル30」の
コンサートシリーズ「梨ばろっこ(なしばろっこ)」

今回のコンサート会場は富山県富山市
富山駅のすぐ北側、環水公園の近くにある大きなビル施設、
会議室・宴会場・結婚式場などの催事サービスを提供している
「ボルファートとやま」の2階にあるチャペル。

ボルファート梨ばろっこチャペルコンサート第16回。
アンサンブル30のコンサートが定期的に開催される
「ホームグラウンド」のような場所のひとつであるようです。

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3種類の鍵盤楽器古楽を演奏。
3つのアルファベットの頭文字を名前に持つ作曲家の作品。

古楽の曲にピアノが入ってくるということは、
当然、取り上げる曲にはなんらかのアレンジが
施されているはず。

そして取り上げるのは
「G」「H」「I」から始まる作曲家の作品のみ
過去には「A」「B」「C」から始まって
「D」「E」「F」と続いてきたということであって...

...そんな頭文字の縛りをかけて
いったいどんな作曲家が出てくるというのか???
全然知らない、馴染みのない作曲家が
まだどんだけおるねん???

まあ要するに、なんやそれ? ですよ。
いったいどんな音が聴けるのか!?
ほかでは見たことのない斬新な発想。
まったく予測不能

そんな好奇心がまた湧きに湧いて、
是非とも観てみたいと思い続けてきたコンサートでした。

ここ1か月ほどの我が身の慌ただしさと
一向に抜けない疲労感。
「やっぱしやめといて休養しとくか...」と
数日前から前夜まで迷いが渦巻いておりました。
当日の朝も迷いに迷っておりました。

んがしかし!

 天気ええよ!
  春やんか!
   外の空気にあたるのもええやんか...

       ...ドライブええなあ

やむにやまれず行けないわけではないのだから行かな!
ワシには音楽が必要やあ!衣・食・住・音!

脳内のレバーを全力でがっこん!と切り替えて
春の陽気の中を、クルマを走らせて富山市へ。

 おっかーを こーえー
 ゆっこーおよぉ~
 おまえがそんなにいう~なら~(え)

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 (写真はイメージです。ぼくのクルマではありません!)

さて到着しましたボルファートとやまチャペル。
早めに到着したら環水公園のあたりを散歩するつもりでしたが
そこまでの余裕はありませんでした...

それでも会場前の光景を目にするだけでうれしくなります。

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チャペルに入ると3種類の鍵盤楽器が。
ステージの左隅にオルガン。右隅にはピアノ。
中央にはもうすっかりお馴染みの光景になった
アンサンブル30のチェンバロ

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チャペルなので、座席の前にはちょっとした台があるのですよ。
そこへ、ひそかにこの彼を...コンサート会場デビューさせました。
梨ばろっこと関係あるわけではないけれども...

いったいなにをやっているのでしょうか
このおじさん ←ワシ は......(汗)

どうせなら気分よく音の響きを楽しんで味わおうという、
ただただそれだけです。

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さて今日の曲目はなんだい?とひもといてみたら
こういう感じになっておりました。

イザーク、ギボンズヒンデミット...
まったく馴染みがありません。
前半が古楽。後半は20世紀の近現代の音楽
楽器編成も取り上げる音楽も変則的。

この発想の自由さ柔軟さ。
しかしこれこそ、古楽バロック時代の音楽文化の
実態や精神を今に引き継ぐものなのかも知れません。

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さらに、取り上げられた曲の作曲家の解説まで。
これから演奏される音楽の背景や楽しみどころを
少しばかり知るいい材料。こういうのはとてもいいですね。

心のこもった挨拶文。
いい音楽がたくさんあることをもっと知ってもらいたい。
楽器のおもしろみも存分に楽しんでもらいたい。
そういう気持ちをもひしひしと感じます。

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3人の奏者が登場して、ヘンデルのハレルヤでスタート。
有名な「ハレルヤ・コーラス」の華やかで堂々としたメロディが
オルガン・チェンバロ・ピアノのハーモニーで響き渡る。

この3つの楽器。
それぞれ、ひとつひとつの音色はこれまでに
たくさん聴いていて、耳に馴染んでいるものだけれども
すべてが同時に鳴らされるやいなやまったく新しい音世界が!

それでいて、楽器同志でそれぞれの音色をつぶし合うこともなく
楽器ひとつひとつの魅力は充分に活かされた上で一体化している。
今までに体験したことのない感覚が湧き起こって驚きました。

オルガンソロで演奏されたイザークの曲は
とても古い時代の作品らしく、とても穏やかでシンプルな響き。

チェンバロソロで演奏されたギボンズの2曲。
ゆったり、やや重く厳かで憂いのある雰囲気の曲が
チェンバロの繊細な音色で軽やかに。
もう一曲のほうは「イタリアの」らしく、明るく弾む感じ。

バッハよりももっと古い時代の音楽が続いたあとで
ハイドンソナタがピアノソロで鳴り響くと。
いわゆる「古典派」と呼ばれるハイドンの音楽が
ものすごく現代的な、新しいスタイルの曲のように聴こえる...
シンプルで明るく行進するようなハイドンらしい曲で
モーツァルトの曲が持つ独特の雰囲気のルーツを感じます。

とやまシティエフエムの川田知恵美アナウンサーの司会で
金沢のオルガン奏者の黒瀬恵さん、
富山のチェンバロ奏者であり、梨ばろっこを企画している
アンサンブル30の主宰でもある安岡厚子さん、
同じく富山のピアノ奏者・講師である清水香里さんが、
それぞれの楽器との馴れ初めや魅力についての
ちょっとしたインタビューに答えられました。

 オルガンは管楽器
 チェンバロ撥弦楽器
 ピアノは打楽器

おさんかたがオーストリア国歌を演奏。
それぞれの楽器の違いと魅力をあらためて感じたところで
ヘンデルのオルガン協奏曲へ。

シンプルでコンパクトな協奏曲は、
ピアノがリズムを刻んで土台を支えて
チェンバロはさり気なく繊細に装飾を添えて
オルガンが多彩な音色で素朴なうたをうたう。

3つの楽器の持ち味がよく現れたおもしろい演奏。

古い時代の音楽を集めた前半が終わって休憩時間に。
すっかりお馴染み梨ばろ珈琲を1杯味わいます。

似ているような似てないような彼ら...笑笑

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そして20世紀の音楽が集められた後半へ。

まずはピアノソロでガーシュウィンの曲が。
近現代のクラシック音楽の華やかさと
ジャズのスウィング感が絶妙にブレンドされている
ガーシュウィンならではの楽しさが存分に感じられる演奏。
チャペルがジャズ喫茶の雰囲気に様変わり。

ヒンデミットの曲がオルガンソロで。
音色の変化、曲調の変化、気まぐれで怪しい感じがした
奇妙な味のオルガン曲。

ヒンデミットはドイツ出身の作曲家で
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター
務めたヴァイオリニストでもあって、オーケストラで登場する
あらゆる楽器のための曲を多く残したのだそうです。

オルガンを演奏した黒瀬さんはヒンデミットのひ孫とのこと!
あ...師弟関係のうえで、ですよ...あくまでも(汗)

そして最後に、ホルストの「木星」。
平原綾香さんが歌った有名なフレーズの部分のみならず
大編成オーケストラで演奏される原曲が
3つの鍵盤楽器だけで完全に再現!

これはすごい!
ちいさなチャペルから
宇宙へ一気にひとっとび!

ピアノは意気揚々と宇宙旅行へ向かう冒険家のように
オルガンは宇宙空間と惑星の風景を浮遊感たっぷりに描き
チェンバロはまるで宇宙人の語るコトバか
交信・混信する怪しい電波か超音波か...なんだこれは!

とってもシュールな音の中を旅している間
その響きのあまりのおもしろさに
ずっとニヤニヤニヤニヤしてしまっておりました...

こんなふうにチェンバロ現代の音楽に取り入れられると
緻密な緊張感を軽やかにユーモアたっぷりに
音楽に添えていくようで、
古楽の曲で感じられる魅力からはおよそ想像し難い
独特の新たな魅力や可能性が感じられたのでした。

最後に、アンコールで、ヘンデルのオンブラ・マイ・フ。
宇宙空間を飛び交った後は無事にチャペルに帰還して
穏やかにコンサートは終わりました。

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3つの鍵盤楽器が同時に鳴らされたときの独特の響き。
古い音楽から新しい音楽まで、それぞれの味わいの違い。
枠にとらわれない柔軟な発想、斬新なアイディア。
絶妙なアレンジ。

実に険しい角度で想像の斜め上を行く
刺激とおもしろみに満ち満ちたコンサートだったのでした。

すっごいわ梨ばろっこ!
ますますその魅力に取り憑かれていく...

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