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哲学はなんの役に立つのか?~「考える」ことを楽しむ哲学講座

ああ...もう昨年の12月のことやん…
2か月半ほども前のことになってしまいましたけども。

石川県かほく市にある、西田幾多郎記念哲学館。
ここで開催された『考える』ことを楽しむ哲学入門講座
聴講してきたという話です。

1年を通して計画・開講される一般向けの哲学講座があって
わたしは今年からそちらの講座をいくつか聴講し始めましたが、
それとはまた違った、単発の入門講座。
事前の申し込みは必要だけどもこちらは参加費無料!

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このフライヤーからもわかるとおり、テーマは3つ。
これ、3つとも聴講してみたかったんですけども!
諸事情あってすべてを聴講しに行くことはどうにも叶わず、
3つ目の入門講座「哲学はなんの役に立つのか?
これだけを聴講することができました。

ここのところ興味が湧いてきた、哲学を学び親しむこと。

 哲学に親しむとはどういうことだろう?
 哲学に親しむ意義はなんだろう?
 哲学を知るとどんないいことがあるのだろう?

自分としては、この記事に書いたような思いだとか、

rcs4naruki.hatenablog.com

こういう思いを持っていたりするのですが、

心理学については、
若かりし頃に、河合隼雄さんの著書や
こころとからだの結びつきなどに関する本を
少し読んで親しんだことがありましたが、
哲学というものに対しては、それまでの自分には
殆ど無縁でした。

 

それから本屋や図書館へちょくちょく足を運んでは
どんな本があるかを探って、
池田晶子さんの著書を気に入って
多少読んだりはしてきたものの
本格的な流れや習慣にまでは至らずに
ここまでズルズルときたのでした。

 

今年、これからの講座を受講していって、
こういう人文系の本やイベントなどに、
より親しみをもって日常的に触れる習慣を身につけて、

 

 ものごとの本質・道理を見極める「見る目」を養う

 

そういう磨きを自らに掛けていきたいなと、
そう思うのでありました。

哲学の手習い・ことはじめ~西田幾多郎記念哲学館で講義受講にトライ! - Naruki.K's Radio Head

哲学を研究する立場の方からどのような見かたや考えを
聴くことができるのか、とても興味をそそられまして。

そんなわけで、これだけは外したくはなかったという講座。
聴講しに行くことができました!

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講師は、上智大学文学部哲学科の寺田俊郎教授。
カント哲学を専門に研究されておられるとのこと。たしか...(汗)

2時間ほどの講義は、非常に楽しくて興味深いものでした。

ひところ問題視されたニュース「大学の文系学部廃止論」。
実際には「廃止」ではなく「改組」であるというのが真相なのだが、
これが「廃止」と解釈されて話が広がったということだったそうです。

このことによって、文系の学問は必要ないのではないかという意識が
一般的にぼんやりと蔓延していて、しかし、そのことが問題として
提起されたこと自体に文系学問の意義があるという、非常に興味深い
見解をいきなり聴くというところから始まりました。

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多くの哲学者や学派が「哲学というものをどうとらえているか」を
哲学の定義の多様な例として紹介しながら、哲学の2通りのアプローチ...

1.古今東西の哲学者が考えてきたことを
  ひもといて学び、知識を得る。

 

2.自分の身の回りのものごとやできごとに
  好奇心や疑問の目をもって注目してみて
  少し深く考えてみる。

プチ哲学~感じたままに生きるだけでは見えないことがある - Naruki.K's Radio Head

...も紹介されておられました。
(後述の「学問としての哲学」と「活動としての哲学」)

このくだりで、わたし自身の、哲学を学び親しみたい感覚は
後者優位だったんだと、そしてそれは間違ったアプローチでも
ないのだと、はっきり自覚できたことがとてもよかったです。
とてもすっきりした気分になりました。

哲学が役に立っている実例や、
哲学的にものごとを考える取り組みの実例の紹介も。

 西田幾多郎記念哲学館:

  哲学の学びを広く提供する場として今まさに役に立っている!

 哲学対話:

  今では日本の各地で、金沢でも開催されている
  「哲学カフェ」は、1992年にパリではじまった。

  職業人である大人の反響の傾向は、

   哲学対話におもしろみを感じるビジネスパーソン
   少ないわけではないが、その効果が見えにくい
   (はっきりと示すことができない)ので、
   上司にも意義をうまく説明できず、なかなか根付かない

  というところがあるのに対して、

  子どもや高校生がおもしろい哲学的な問いを出して
  考える傾向があるとのこと。

   『女子力』というような、
    内容(意味)のよくわからない言葉が
    こんなに流行るのはなぜか?

  というのがテーマにあがる、など...

これ、ほんとうに寺田教授が講義で紹介してたのですよ。

そして、哲学はなんの役に立つのか?

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哲学の意義とは...?

 あたりまえのことを、立ち止まって考えてみて、
 人間として大切なことはなにかを、対話しながら考えていき、
 熟議のために、哲学的思考を養うこと

「人間として大切なこと」を考えて実践するための役に立つ!

それが

 ひとりひとりが自分自身の判断力や自立心を鍛えていき、
 プロパガンダに抵抗する能力を有する、思慮深い人間を
 形成していくこと

につながっていって、それはつまり...

「民主主義」が成り立つために役に立つ(なくてはならない)

講義をひととおり聴講して、そう思うようになりました。

 哲学を学ぶことはできない
 哲学することを学べるだけ

そういう、実に深い言葉を残した哲学者もいるそうですが...
これは、

 哲学していくことによって
 自分の中にオリジナルの哲学を創っていくこと

つまり「自分の軸」を持つ、組み立てていくことが肝心なんだと
言っているのではないかと、いまのところは解釈しています。

なにか特定のものごとに対して直接的に、ということではなく
およそ万事において根本的に役に立つ、そういうものだろう。

人間が人間として在るために「人間の考えかた」を考えること。
それは、人間にしかできない、人間的な営み。

なんだかおもしろくなってきたぞ!

最後に、講義のなかで引用されていた
哲学者や哲学学派の言葉や、
「哲学」で問うものはなにか?などなど...
印象深いものを覚え書きとして紹介しておきます。

    *    *    *    *    *

  カント:
  「上級学部」…神学・法学・医学
  「下級学部」…哲学
  哲学は、直接なにかの役には立たないが、
  なにかを検証する役には立つ、間接的に役に立つもの。

 新カント派:
  「事実や、ものの価値について考える」各種実学に対して、
  「人間の持つ価値について考える」のは、哲学だけ。

 カリクレス:
  若い時分に哲学をして考えるのは好ましい。
  いい年をして哲学をし続けるのはイタい。
  もっと政治などで人々に貢献するべき。

 リップマンの哲学観(子どものための哲学(P4C)より):
  「探求の共同体」
  自律的かつ共同的、批判的かつ創造的思考の教育。
  ひとつの答えを出すものではない、思考力を身につける教育。

 シンガーの倫理学観:
  「倫理学」とは、善悪・正邪を問う哲学の一部門。
  現代社会の諸問題を解決するために役立てるもの。

 ユネスコの哲学観:
  市民の判断力を鍛える。
   判断力=如何なる民主主義の基礎
  市民各人が責任を追うことを教える。
  市民の自立心を鍛え、プロパガンダに抵抗する能力を有する
  思慮深い人間を形成するためのもの。

 

基本に立ち戻って...哲学とは?

 人間の関心事の意味を問うもの。
 古くは「自由」「神」「不死の魂」。
 現代社会では「幸福」「人権」「友情」「愛」。

 神話、宗教、哲学、科学...
 意味の問いに答える手段としての哲学は
 どの文化圏にもあるが、ヨーロッパ圏で
 独自の学問として発展していった。

 ヨーロッパの哲学で問うたものは「真」「善」「美」。

 「学問としての哲学」
  哲学の専門家が研究する哲学(学校概念の哲学)。
  過去の哲学者の読解・解釈。
  現代社会の諸問題を哲学の観点から考えて
  解決の手がかりを導く。
   →「活動としての哲学」のリソース
    (考えるヒント・資料を提供)

 「活動としての哲学」
  ひとりの世界市民として人間の関心事を探求する営み
  (世界概念の哲学)
  生きる中で出会う問いを考える。実践する。
   →「学問としての哲学」の、専門家のリハビリ
    (専門家が学ぶだけではなく実践するためのもの)

 「学問としての哲学」「活動としての哲学」本来はひとつ?

哲学の問い

 自己とそれをとりまく世界について考えること。
 なんでもテーマになる。

 「世界はどうしてできたか?」
 「人間はなぜ生きる?」
 「死んだらどうなる?」
 「幸福とは?」
 「正義とは?」

 歴史に名を残す哲学者は、それぞれの時代の、
 極めて現実的な問題をとりあげてきた。

 

哲学する、ということの側面

 知性の発現
  役に立つ立たないではなく、必要不可欠
 人間性の発現
  人としてどう生きるのかを考えるためのもの
 教養
  知的好奇心
 遊び
  そのこと自体が楽しいからやるもの
  損得離れて没頭するもの