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2017/10/21 音楽演劇「セロ弾きのゴーシュ」

宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」の音楽演劇を観ました。

地元のストーリーテラー・奈良井伸子さんが主宰する
「わらべうたとえんげきの広場 はちみつ」による、
かなざわリージョナルシアター2017「げきみる」最初の公演。

0才から観劇OK! おとなもこどもも 音と楽しむ宮沢賢治
そう銘打たれた演劇公演のひとつでした。

www.artvillage.gr.jp

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今年5月の「風と緑の楽都音楽祭」での「ガルガンチュア物語」。
この無料ステージで、とてもコミカルで暖かいユーモアたっぷりな
パフォーマンスを観て以来、奈良井さんのストーリーテリング
ファンになりました。
音楽祭という場、そして、題材が荒唐無稽な「ガルガンチュア」と
いうところがまた、なおさら自分にはツボにハマったと言えます。

このステージでは、地元のハープ奏者・上田智子さんが、
ハープ演奏と曲作りを担当されて、おもしろおかしな物語に
暖かさと華やかさを添えていました。
その上田さんが、奈良井さんの語りに音楽を添える演劇の舞台と
いうことで、これはもうよいステージにならないわけがないやろ!
あの楽しさをもう一度!観ねば!となりました。

rcs4naruki.hatenablog.com

公演当日の午後。
午前中、金沢のまちなかのお寺で参加した別のイベントに引き続き、
金沢市民芸術村へ移動、PIT2ドラマ工房へ足を踏み入れました。
開演時刻をわずかに過ぎていて、すでに奈良井さんによる前説が
はじまっていました。

ステージ中央には影絵を映し出すスクリーン状の大きな白い幕。
右手にハープ(上田さん)と、チェロ(外山賀野さん)を演奏する
スペース。この演奏スペースが見づらい位置にしか座れなかったのが
残念ではありましたが、少しだけ演奏姿を見ることはできました。

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奈良井さんは、物語の進行とゴーシュ役、一人二役
実に自然な流れで語って演じられていました。
言葉のひとつひとつ、しぐさのひとつひとつ、どれをとっても
とてもわかりやすい、物語の中に自然に引き込まれていく感覚。

カッコウの役を演じた鳥毛こずえさんとの掛け合いもとても自然に、
そして、とても生き生きとした、歯切れのいい演技。
ゴーシュが奏でるチェロの音をなんとか引き出したいという
切なる願いがよく伝わります。

猫が影絵で登場したときには、なんとなんと!
ハープの上田さんが声での出演。
ゴーシュに対してちょっと斜に構えた猫の態度がものすごくよく
わかるセリフ回し。生意気で小憎たらしくて、だけどどうにも
憎めない、かわいらしい猫がそこにはいました。

そのそばでチェロを演奏する外山さん。
ゴーシュの音と気分を巧みに表現されていました。
細かく早いフレーズも柔らかい音色で、童話の雰囲気にぴったり。

薄暗くて小さなスペースで、手作りのしかけにアコースティック楽器。
それだけでつくりあげる空間は、小さな洞窟の中で物語を観る...と
いった雰囲気で、物語が終わってからもしばらく余韻を味わって
いたいくらいの、ホッと落ち着く、和むものでした。

    *    *    *    *    *

楽器を鳴らすこと、音楽を奏でること。
表現をすることを仕事にすることで、見えるもの、見失うもの。
芸術表現を生業にしているわけではない自分にも、
ゴーシュの物語と奈良井さんたちのパフォーマンスを通して、
考えされられるものがありました。

何に向けて、誰に向けて、演奏するのだろう。表現するのだろう。
上手に表現するための地道な練習や訓練。その目的はなんだろう。

芸術の表現に限らない。
この、好き勝手にはじめて好き勝手に書き続けている、仕事でも
なんでもないブログだってそう。
自分以外の誰かに向けた表現や発信の、おおもとにある動機・思い。
それを見失ってしまうと、いいものができない。上達しない。
それがいわゆる「壁にぶちあたった」「煮詰まった」状態の正体
なのかも知れない。

物語は、観る前にはまったく連想しそうになかったものを、
期待してもいなかったものを、ジワジワと思い起こさせてくれる。
おもしろい。

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終了後は、スクリーンの裏が公開され、影絵を映すしくみを見ることが
できました。大人の自分にはとても懐かしい装置がありましたが、
子どもたちにはとても摩訶不思議で新鮮に映っていたようです。

演劇も、童話も、子どもの頃からあまり観ることがなくて
馴染みがないものでしたけども、大人に、いいトシになってから
こうしてじっくりと観るのもいいものだなあ、と。
このトシになったからこそ、良さをしみじみと噛みしめることが
できるというものかも知れません。

上田さんに感想を伝えて、談笑することができてうれしかったですね。
忙しく動かれていた奈良井さんにはごあいさつしかできませんでしたが、
これからも、語りや演奏を観ていきたい、応援し続けていきたいという
気持ちが強まったひとときでした。