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2017/08/11 落語・オペラ「死神」

2017/08/11 落語・オペラ「死神」

石川県立音楽堂 日本の室内オペラシリーズ 第一回。
音楽堂で開催される新たなシリーズがまたまた登場しました。

今度は、落語とオペラの2本立てという...

 落語「死神」・オペラ「死神」

タイトルが同じである落語とオペラ、作品としてはそれぞれ独立した
ものとして成立しているものをひとつのステージでカップリングすると
いう、しかもこの季節にこのお題という、なんとも凄い発想の企画。

落語とオペラのカップリングと言えば...
3月に観た、桂米團治さんによる「おぺらくご」を思い出します。
もっとも「おぺらくご」のほうは、オペラに落語をミックスした
ひとつの劇作品でしたが。

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そしてこのフライヤーの内容。
「喜劇か、悲劇か、不条理か。甲斐性なし男の数奇な夢想」
一発で気持ちを鷲掴みにされました。これは観なければと...。

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当日は、この公演の前に、金沢市民芸術村パフォーミングスクエアで
別のコンサートを1本観に行っていました。

rcs4naruki.hatenablog.com

このコンサートの終演後、金沢駅方向へ戻るように高架線路沿いを
歩いていって、近くで軽く腹ごしらえしてから石川県立音楽堂の
邦楽ホールへ入りました。

2階の指定席に陣取って前方を見渡すと、舞台前が見慣れない様相に。
1階席のおよそ5列分がすっぽり覆われて、楽団の楽器や座席がその上に。
演奏のスペースにされていました。
いかにもオペラのステージというような設えが邦楽ホールに造られる。
これはそうそう観られる光景ではありません。
欧米諸国ではこんな光景は見られるはずもなく。おもしろいものですね!

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まずは、古今亭志ん輔さんが登場しての高座の一席。
落語「死神」。
はじめのツカミで、その直前にあった終演予定時刻変更アナウンスの
内容を即興で自虐ネタ化したり、金沢駅の直ぐそばにあるやかんオブジェを
ネタにしたり。こういう面白味を味わえるのが生の高座のいいところ。

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本編の古典落語「死神」の話。
金銭問題で先行きに絶望して死を選ぶことが頭をよぎるということは
昔も今もちっとも変わらないのだなあだとか、
死神が枕元に居るとなんとやら、あるいは足元に居るとなんとやら...と
いうようなよく聞く話はここから来ているのか、などと思いながら、
味わい深い噺を楽しみました。

人間ってほんっとうにナサケない、ショーガない生きもの、
ショーガないんだけどもなあ...なんだかんだと言いつつ、
前向きな肯定感を気がついたら与えられた感覚になる。それも逆説的に。
そのあたりが落語の魅力のひとつのようにワタクシには感じられます。

35分ほどの高座が終わって、しばしの休憩。
ステージや楽団の準備が済んだところで、オペラ「死神」がはじまりました。
台本は、映画監督の今村昌平さん。
音楽は、作曲家の池辺晋一郎さんが20代の頃に手掛けた初のオペラ作品。

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実は落語「死神」を下敷きに作られたオペラだったりするのですが、
これがもう、最初から最後まで、昭和中期のドラマのあのいまひとつ
垢抜けない雰囲気と奇妙なユーモア感に満ち満ちた笑いの世界。
途中である有名な歌謡曲も流れてきたりもして...

妖艶な美人の「死神会社のセールスウーマン」が、
カネに困った葬儀屋の旦那「早川」に儲け話を持ち掛けて、
たらし込んで儲けさせて翻弄する。

死神を演じた沢崎さんの、ものすごくセクシーな目線と身振り。
葬儀屋の早川を演じた泉さんのなんともまあナサケない男ぶり。
双方の演技が秀逸!
女の誘惑という引力にどうにも抗えずに吸い込まれてしまう男の
立ち振舞いの演技が最高!本当に見事でしたよ。
男から見たら

 あーあーあー
 しょうがないけど確かにああなるわな......

そーゆー感じでしたよ笑笑

生死、欲望、男の足元を見た女の狡猾さ、まんまと足元を見られる
男のトホホな性(さが)。
そういうものがドロドロと渦巻くのに、なぜか清々しいほどに可笑しい。

話の内容、展開、オチ。とても落語的なものを感じました。
そんな落語のエッセンスが活かされているという意味では、これもまた
「おぺらくご」と言ってもいいでしょう。

途中に休憩を挟んで、まるまる2時間のオペラ。
もともとオペラには親しみを感じたことはなくて苦手意識があったの
ですが、そんな意識に風穴が空いた感じがします。
そんなに高尚なものとして捉えることなんてなにもない、むしろ、
俗な人間模様を大仰なユーモアで描いたものというとらえかたで
楽しんでもいいんだなあと、そういう、自分の意識の変わりようを
感じもしたひとときでした。

前日との2日連続の公演だっただけに、2回観てもよかった。
そのくらい面白かったステージでした。

 洋の東西をものの見事に「和えた」和の文化が
 またここにひとつ。

こういうものを、ちょっとだけ足を伸ばして普通に観られる環境が
とても幸せです。

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立川志の輔さんの噺による古典落語「死神」。


落語 立川志の輔 死神 借金がある男が死んだほうがいいと思ったが・・

 

オペラ「死神」の劇中で流れてきた往年のムード歌謡。
これをオペラの演出に持ってくるセンス...のクセが凄い!!


よせばいいのに 敏いとうとハッピー&ブルー 1979