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2017/08/11 巡り合う時代展 vol.2(箏・二胡・ピアノ・フルート)

2017/08/11 巡り合う時代展 vol.2

.....と銘打たれた、金沢市民芸術村のコンサートイベント。

 -金沢、時代と文化の出会うところ-
 「現代文化の中に自然な形で伝統の息づく街、金沢を舞台に
  中国と日本の音楽が時代を超えて出会います。」

登場する楽器をみてみますと、二十弦箏・二胡・笛子・ピアノ・フルート。
日本、中国、そして西洋の楽器。
この組み合わせが調和してどのような響きを感じることができるのか?
曲目も、日本や中国の音楽が中心になるらしい。
楽器の組み合わせはもちろんのこと、曲にも馴染みがあるわけではない
けれども、こういうのはもう、おもしろくないわけがない!
またまた直感。

この日はもともと、別の音楽公演を観る予定にしていましたけども、
公演のハシゴになるけども...その前に充分行ける!問題ない!

ってことで、チケットを押さえて観に行きました。

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当日の金沢はよく晴れた、陽射しの強い暑い一日。
金沢駅西口から約20分。西の方向へ伸びる高架沿いの道を
てくてくてくてく歩いて、着きました。金沢市民芸術村。

広々とした芝生にとても素敵なレンガ造りの建物。
たくさんの子どもたちが人工池で水浴び遊びを。ぱしゃぱしゃ。
まるでファミリープールのような光景。

この素敵な光景をもってしても、スカーっとふっとびようのない暑さ!
20分あまり歩いた後も一向に引かない、次々に吹き出す玉の汗!

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このレンガ造りの建物では音楽や演劇などのステージが多く開催されます。
この建物の中(正確にはこの写真には収まってない左の一角)では、かつて
いろんなステージを観たことがありました。 

ジャズピアニスト・山下洋輔さんと、ジャズサックス奏者・梅津和時さんの
グループとのジョイントセッション、PONTA BOX(セッションドラマーの
第一人者・村上ポンタ秀一さんのユニット)という腕っ利きの音楽家から、
小学校時代の同級生のジャズボーカルライブまで。

ですが、今回のコンサートイベントは、ここから少し離れたところにある、
パフォーミングスクエアという、こういう小ホールで開催されました。

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中に入ると、黒い壁に取り囲まれたスペースに段差のないステージ。
21世紀美術館地下のシアタールームのような雰囲気。
このような場所で味わう至近距離での生演奏、いいものですよ。
期待は高まります。

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いちばん初めに、十三弦箏(通常の大きさの箏)のソロで古典の一曲。
西洋音楽でいうところのバロック音楽と同じ時代に作られた曲のよう
ですが、それとは全く違う、日本の音楽の味わいを感じます。

その後、フルート奏者の木埜下大祐さんの司会進行によって
ステージは進んでいきました。
木埜下さんが、箏や二胡などの東洋の楽器の特徴などを中心とした
お話を各演奏家の方に促します。金沢出身の箏奏者である丸岡映美さんが
箏の種類と演奏するときの感覚の違いを、中国出身の二胡・笛奏者の
王明君さんが、二胡の特徴、各種横笛・縦笛の紹介をされました。

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今回王さんが使った二胡は、200年前の木材を使用したもので、
本体(共鳴箱)の大きさも現在の二胡より小さく、昔ながらの造りの
ものということで、音量は出ないけれども、その代わり音色も素朴で
繊細であるということでした。
さらに古くは、二胡はもともと竹で造られていたというお話しも。

2曲目以降で王さんの演奏で実際にその音色を聴いてみましたら
今までに聴いたことがある二胡の音色とは随分と趣が異なっていました。
とても音量が小さくて音色も地味で渋い。ですがそれもまた素敵でした。

西洋のクラシック音楽でも、現代の「モダン楽器」と、曲が作られた
200~300年前の楽器の造りを再現した「ピリオド楽器」の違いと
いうものがありますが、それと同じような、時代を経るごとに、
そのときのニーズに応じて楽器の造りが変わっていくという歴史や特徴が
二胡にもあるということを初めて知って、より一層、二胡の響きの
奥深い魅力を直に味わうことができました。

こういうことを知れただけでもかなりの収穫だったのですが、
さらにさらに。
二胡を演奏した王さんは、もともと笛の奏者であるということで、
笛子(ディーズ)という横笛と、洞箫(ドウショウ)という縦笛、
竹製の中国のそれらの笛を持ち替えての演奏も披露されました。
それぞれの楽器の特徴の解説もありました。

特に、笛子(ディーズ)。
これは構造も音色もとてもおもしろかったですね!
フルートと同じような、リード(管楽器に息を吹き込んだときに振動する
音源になる薄い板)がない横笛でありながら、吹き口の隣りににある
別の穴に、葦(あし)の膜を張って塞いてある。
それを振動させるかさせないかで音色に変化をつけられるようになって
いるという話です。
実際にいくつかの曲が演奏された中では、フルートや篠笛、能管のような
音色から、クラリネットに近い響き、バグパイプの音をもっと高く細く
したような音色まで、1本の横笛から発しているとは思えないくらいの
多彩な響きを聴き取ることができました。驚きましたね…でおもしろい。

そんな笛子で、クラシック音楽のポピュラーな名曲「チャルダッシュ」。
重く遅いフレーズから、急速な音の粒の連続までを東洋の横笛で再現。
これがまたもの凄く素晴らしかったですね!
それ以外の曲でもとてもバラエティに富んだ、暖かい演奏が聴けました。

曲目リストにはない「椰子の実」。アンコールの「てぃんさぐぬ花」。
それらもまた美しい演奏でした。
これらを含めた、いろいろなところで、いろいろな時代に作られた曲。
そこへ、お馴染みの「ふるさと」の華やかかつ繊細なアレンジ。
こういう内容であるだけにより一層、

 世界各地の魅力を、金沢の地で融合。
 金沢だからできる、似合う、
 なんでも「和える」、気軽に「出逢える」和の文化

そういう空気を創り出していこうという心意気のようなものも
込められているのではないかとすら感じます。

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丸岡さんによる箏のお話にも興味深いものがありました。
通常の十三弦箏と二十弦箏の違い。
演奏するときの弦の押さえ具合も違うし、弦の間隔も、二十弦箏は
十三弦箏よりも狭いので他の弦を弾いてしまわないように気を遣うこと、
二十弦箏には21本の弦が張られていて、一番奥の1本はもともとは
演奏しているときに手を支えるためのものであったけれども、後に
鳴らして演奏に加えるようになっていったということ。
その演奏はとても安心して聴いていられるものでした。

そんな東洋の楽器に、及川さんのピアノと木埜下さんのフルートが
絡みます。どちらとも、とてもソフトで暖かいまろやかな手触りの響き、
それでいてひとつひとつの音の粒はとてもはっきりクリアに際立っていて
非常に美しいアンサンブルが形作られていました。

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このような、東洋の曲を中心とした、東洋と西洋の楽器のアンサンブル。
文化の交流と融合によってまた新たな魅力を醸し出す。
東洋の曲や楽器のことは、西洋のクラシック音楽やジャズなどに比べると
普段はあまり触れる機会が少ないですが、それだけに新鮮な驚きと
見知らぬ奥深い魅力があることに、こういうステージで気付かされます。

こういう演奏に触れられる環境がすぐ近くにある...場所的にも価格的にも
映画を観に行くのとほぼ同等の気軽な感覚で出向くことができる。

このコンサートイベントを企画されたフルートの木埜下さんをはじめ、
二胡・各種笛の王さん、箏の丸岡さん、ピアノの及川さんへ敬意と感謝。
木埜下さんと丸岡さんは金沢出身。
また、地元にこんなに素晴らしい音楽家が居られるということを知りました。
こういうことも、地元のいち音楽好きとしてはとても嬉しいことです。