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風と緑の楽都音楽祭2017 その3 本公演2日目(2017/05/04)

風と緑の楽都音楽祭2017 その3

今年から装い新たに独自の音楽祭イベントとして
再出発しました。風と緑の楽都音楽祭。

通称「ガルガンチュア音楽祭」。
ぎゅぎゅっと縮めて「ガル祭」。

本公演2日目(2017/05/04)。
この日は、有料公演を3つ観る予定。
それらに加えて、無料公演を2つ観る予定を
組みました。

4月にはじめてコンサートを観て、
その演奏の素晴らしさと朗らかな人柄を
感じさせてくださった地元のハーピスト
上田智子さんの出演を観ねばと。

そして、ラ・フォル・ジュルネ金沢の頃から
多方面で盛り上げに貢献されている作曲家、
青島広志さんによるクラシックバラエティショー。
これは外せません。

さらに、地元のソプラノ歌手・石川公美さんと
金沢大学のオーケストラのステージも観ようと。
こちらは有料公演のチケットでフリーパスなので、
余力(当日朝起きてみて体力や時間に余裕)が
あったら、と、観てまわってきました。

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当日朝の石川県立音楽堂前。
この日もとても暖かい好天に恵まれました。

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【目次】

 

①石川公美&金大フィル
 @石川県立音楽堂 交流ホール

地元のソプラノ歌手・石川公美さんと、
金沢大学フィルハーモニー管弦楽団
(団員60名)の共演。
石川さんが司会進行とうたを担当されました。

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となりのトトロ」は弦楽8重奏で。
さらりと流れるように。
「ずいずいずっころばし」は金管5重奏で。
ちょっと入り組んだパズルのように。

どちらも5月にちなんだうたであるというお話。
なぜ5月にちなんでいるかは…
ここでは皆さまのご想像にお任せすることに
しておきましょう。

その他、フルオーケストラで演奏される曲。
そして、オーケストラの楽器とパート、
それぞれの役目を紹介するコーナー。
とても優しく楽しいステージでした。

その光景は、春の訪れを感じ始めた
花壇と言ったらよいでしょうか。

 「あれ。ここ、咲いてもいいんか?」

 「パッと開いても良さそうやけどなあ、
  どやろ?」

初々しい金大フィルの団員のみなさん。
そこへ石川さんの明るいトークの陽光が
射し込んでいきいきと咲き始めるという、
そんな雰囲気を感じさせました。

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音楽に馴染みのない人たちにとって、
オーケストラの各楽器やパート、それぞれの
役割といったことを気軽に知る機会は
意外とないものだと思いますので、
この音楽祭という場で音楽をより深く楽しむ
裾野を広げていくという点において、
非常に有意義な取り組みだと感じました。

学生オーケストラへの親しみや知名度アップと
いう意味でも、音楽祭にこのような側面もある
ことをもっともっとアピールしていいのでは
ないでしょうか?

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②能舞とベートーヴェン
 @石川県立音楽堂 邦楽ホール

この音楽祭で観る最初の有料公演。
金沢の音楽祭ならではの、
能舞とクラシック演奏のコラボによるステージ。

このような独自色を出すことが、
昨年までの音楽祭の企画元であった
ラ・フォル・ジュルネ側と
袂を分かった要因のひとつでもあったようですが、
ワタクシは大賛成です。

伝統というものは革新的な試みを取り入れて
引き継がれていくもの...

 そもそも伝統を絵に描いたような
 クラシック音楽だって
 大昔から革新の連続によって変容し続けて
 受け継がれているものであって、
 伝統あるあらゆるものを
 単なる再現や繰り返しに過ぎないもの、
 それで済まされるものだとは考えていない

ので、このような、他では観られないもの、
異文化の融合で新たな世界を体験する場が
あるということは大いに結構だと思います。

いわば、

 異文化を「和えて」
 「和」を為して
 「和む」
試み

ずっと続けていってほしいと思います。

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渡邊荀之助さんをはじめとした能楽師4名と、
地元出身のピアニスト・石本さん。
そして、オーケストラ・アンサンブル金沢
メンバー4名による異文化コラボレーション。

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テンペスト第1楽章では、石本さんのピアノソロと
渡邊荀之助さんの能舞が1対1で融合。

照明も背景も一切の装飾を廃したモノトーンの
ミニマルな美しさが冴えます。
張り詰めた空気を渡邊さんによる美しい曲線が
舞う。石本さんのピアノも静かに燃えます。

弦楽四重奏曲第4番の第1楽章では、
弦楽カルテットと4人の能舞。
4対4の融合。
静謐な空間をより複雑な曲線が舞う。
演奏のテンションもどんどん高まる。
なんとも言えない緊迫感・高揚感が
湧き起こるのを感じました。

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     最前列で見届けたワタクシの後頭部がこの中にあります!

他では味わえない異世界を醸し出した
すべての演目が終了。
出演者9人全員が登場してステージに
横一線に並び、満面の笑みでごあいさつ。

最後に左袖に下がる一瞬、渡邊荀之助さんが
紳士の面持ちで、能楽の舞台では絶対に
見せないであろうお茶目なポーズを。

張り詰めていた場が一気に「和み」の笑いに
包まれました。

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③スプリング・ソナタ @金沢市アートホール

この日に観る2つ目の有料公演。
ヴァイオリンとピアノによる、
直球のベートーヴェンプログラム。

アン・アキコ・マイヤースさんの
ヴァイオリン・リサイタル。
ピアノには地元出身の藤野まりさんが登場。

クラシックを聴き始めた当初の
小学5年の頃から聴き馴染みのある好きな曲、
スプリング・ソナタ

今の季節にもぴったりで、
はじめて生できちんと聴く機会。
楽しみにしていました。

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非常にシャープで切れ味の鋭い
アン・アキコ・マイヤースさんの演奏。
フレーズの強弱がきれいに際立っていて、
ひとつひとつの音がとても鮮明。
輪郭がくっきりとしたベートーヴェン
演奏中に息遣いまでもダイレクトに
伝わってきました。

それに呼応してテンションが
徐々に高まっていく藤野さんのピアノ。
アンさんのヴァイオリンとは好対照な、
太めで丸い響きを奏でて絶妙なバランスをキープ。

それでいて、ジャズピアニストがアドリブに
熱く没入していくかのような演奏姿。
一瞬の合間に譜面をめくる音がはっきり響き渡る
くらいの緊張感。

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ペルト作曲「鏡の中の鏡」では
趣をガラっと変えて、終始繊細な演奏に。
夜明けに静まり返った湖の水面を思わせるような
静謐な音世界。
ここで聴くまではこの曲も作曲家の存在も
まったく知りませんでしたが、素晴らしい!

アンコールはバッハのアヴェ・マリア
鮮やかなアヴェ・マリアを聴きました。

ペルト「鏡の中の鏡」


アルヴォ・ペルト:《鏡の中の鏡》 クレメール

新緑の隙間に眩しく射し込む陽光のような
スプリング・ソナタ
研ぎ澄まされた響きにシビレました。

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青島広志・小野勉
 @ホテル日航金沢 1Fロビー

こちらはひときわ楽しみにしていた無料公演。
音楽祭で八面六臂の大活躍をされておられる
作曲家・青島広志さんと、
テノール歌手・小野勉さんによるお楽しみ
コーナー。いわばクラシックバラエティショー。

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青島さんは、話術も演奏も曲解説も相変わらずの
軽妙洒脱ぶりを大発揮。
昨年もぶちまけた「つまらない曲漫談」シリーズも
しっかりとありました!

そこへ小野さんが、豊かな表情と身体全体を
使って、歌の世界を表現していきます。
身振り手振りでうたの内容がとてもよく
読み取れます。
素晴らしいパフォーマンスです。

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青島さんによると、各曲はこんなんだそうです…

 ・ウリアン氏の~:
  なんでもないフレーズを20回ほど繰り返す
  「つまんない曲」

 ・御身を愛す(Ich liebe dich):
  ベートーヴェンの歌曲の中で
  一番ちゃんとした曲

 ・エリーゼのために
  恋人テレーゼとの想い出の物語が現れた曲

 ・ドレスラーの~:
  ベートーヴェンが13歳のときに作曲された
  最初の作品

その「つまんない曲」の一節を、
楽譜まで用意してお客さんに歌わせて
楽しませてしまうところが
青島さんの面目躍如たるところ。

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ベートーヴェンは多様なスタイルの曲を多く
残したけれども、歌曲はとても少なくて、
しかも「たいしたことがない」。

サリエリに歌曲の作りかたを習ったものの、
サリエリがたいした作曲家ではなかったもの
だから、そんな人に教えを受けたベートーヴェン
歌曲を作るのは上手にならなかったのだ......

そんな話を青島さんがおもしろおかしく
展開するのです。

巨匠の作と言えどもつまらないものはつまらない、
そう率直に言っていい。
そういう痛快さに溢れるトーク
今回も冴え渡っていました。

そんなベートーヴェンの歌曲のあとは、
青島さん自身によって訳された
日本語歌詞を乗せたシューベルトの歌曲。
現代のことばをわかりやすく上手く乗せた
そのセンスにはいつも感心してしまいます。

最後は毎度お馴染みのお客さん参加コーナー。
「かえるの合唱」を全員で輪唱。

「ケケケケケケケケ クワックワックワッ」が
正しいそうです。
「ケロケロケロケロ クワックワックワッ」では
ないのだそうです。

知りませんでした......笑笑

昨年も、青島さんと小野さんが同じ場所で
ステージを務めました。

青島さん・小野さん関連記事:ラ・フォル・ジュルネ金沢2016

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⑤秋元三奈・根来かなう・上田智子
 @音楽堂やすらぎ広場

フルート奏者の秋元三奈さん、
地元のヴァイオリン奏者の根来かなうさん、
地元のハーピスト・上田智子さんのトリオによる
無料公演のミニコンサート。

こちらで聴けた中で特に良かったと感じたのは、
シューベルトアヴェ・マリア」と、
ベートーヴェンの「ロマンス」第1番・第2番。

主に内声部を奏でていた
根来さんのヴァイオリンのフレージングが
演奏に落ち着きと深みを与えていたように
感じられました。

ハープが描く背景にフルートが軽やかに漂う、
その間を往き来してバランスを保つヴァイオリン。

派手さはありませんでしたが
空間の整い具合に妙味を感じました。

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交響曲「運命」
 @石川県立音楽堂 コンサートホール

この日の最後。3つ目の有料公演。
もう何度となく聴いた、言わずと知れた
超有名曲「運命」。

あ。何度となく聴いたってのは
ジャジャジャジャーンのとこだけじゃないですよ!
最初から最後まで全部、何度となく聴いたって
ことであります!

一度は生で聴いておきたかった。
その機会が訪れました。

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ドイツからやってきた若いオケと
指揮者による演奏。
指揮者のユルゲンさん。
非常に長身でスラッとした体型に
キビキビとした動き。スタイリッシュな姿。
同じ男ながら見惚れてしまいます。

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最初の「レオノーレ」。
歌劇の序曲らしく明るくワクワクする演奏。
曲間、2階左のバルコニー席から
トランペット奏者が現れてファンファーレを。
クラシック演奏で客席から演奏するのを
観たのははじめて。
この曲ではこれが通常なのでしょうか?

本編の「運命」。
冒頭の「ジャジャジャジャーン!」。
キターーーーーーーーーー!ってカンジに
なりますね!笑笑

正確には「ジャジャジャジャーン!」じゃなくて
「ん・ジャジャジャジャーン!」。

直前に一瞬「ん」の間が入るのですよね。
このフレーズには。

自分の持っている感覚よりもやや早いテンポで
ぐんぐんと進む展開で、ベートーヴェン
パワフルさ、しつこさ、クドさがわかりやすく
伝わります!

ちょっと真面目に言うと、ベートーヴェン
身に降り掛かった、いわば音楽家の生命線とも
言うべき聴力を奪われるという、
抗えも避けもしようがない「運命」。
それに悩んだ末、逆境に立ち向かって
自分の音楽を創っていく、未来を切り拓いていく
のだという覚悟と決意を固めたというところまでの
心境の移り変わりが、この曲を通して聴くと
感じられるような気がしてなりません。

そのような毅然とした「思い切り」に至った
先に見えてくる先々の明るさ。
そういうものを教えてくれる曲。
生演奏で体験できてよかったと思います。

 

おまけ:エーデルワイス・カペレの楽しい演奏

予定していた公演をすべて観終わって
帰路につこうというところで、
屋外の無料公演に耳を奪われました。

東京からやってきたアルプス音楽集団
エーデルワイス・カペレ

クラシック音楽祭にひと味変わったそよ風を
もたらす、陽気で小気味よい演奏。

写真は前日のものですが、
この日も同じ時間帯に演奏を繰り広げていました。
ジョッキ片手に「乾杯」の歌と掛け声。
みんなニコニコ。
こうして飲むビールはさぞ美味いことでしょう。

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6年前にも、ラ・フォル・ジュルネ金沢にて、
同じ場所で出演されていたようです。


エーデルワイス・カペレ

 

この日は、3つの有料公演を軸に、
いくつかの無料公演を絡めて楽しみました。

昨年までに体験した
「王道の演奏」「能舞とのコラボ」
「青島さんの巧みな話術と演出」に
また出逢えた喜びに加えて、
学生オケにも初めて触れることができて、
じっくりと音楽のいろいろな側面を堪能できた、
そういう充実感に包まれた一日でした。

次は最終日。この勢いで最後まで!