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Naruki.K's Radio Head

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風と緑の楽都音楽祭2017 その2 本公演1日目(2017/05/03)

風と緑の楽都音楽祭2017 その2

今年から装い新たに独自の音楽祭イベントとして再出発しました。
風と緑の楽都音楽祭。
通称「ガルガンチュア音楽祭」。ぎゅぎゅっと縮めて「ガル祭」。

本公演1日目(2017/05/03)。この日は、有料公演を観る予定はなし。
無料公演と、有料公演のチケットを持っていたら追加料金なしで入場できる(有料公演のチケットを1枚も持ってなかったら500円で入場できる)ステージをいくつか観てまわってきました。

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昨年までのラ・フォル・ジュルネ金沢のときには、無料公演をじっくり観るということはあまりありませんでした。通りがかりに見聞きしたものを少し立ち止まって観る程度というのがおおかたで、事前に観るものを決めておくということはありませんでした。
今回は、恐れ多くも...いや光栄にも、最近顔見知りになった、地元を拠点に活動されておられる演奏家が無料公演のいくつかに出演されるということで、その辺りを中心に、無料公演を観る予定も固めて臨みました。

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【目次】

 

①石川公美・近藤洋平・白河俊平 @音楽堂やすらぎ広場

地元出身のソプラノ歌手・石川さんと、近藤さん(テノール)、白河さん(ピアノ)の3人による、バッハ・ヘンデルモーツァルトベートーヴェンシューベルトといった、ドイツやベートーヴェンに縁のある作曲家たちの、それぞれの名曲を散りばめたミニコンサート。

石川さんの歌声はその華やかな顔立ちの印象のとおり、明るく朗々とした響き。
原色の大輪の花を思わせる、元気の出る歌声。
ベートーヴェンの歌曲「Ich liebe dich」もくっきりと鮮やかなうたに。

近藤さんのテノールも、とても明るくてパワフル。
白河さんのピアノは強弱と抑揚が絶妙。特にバッハのパルティータが軽やかで歯切れよい演奏で素晴らしかった!
美男美女が繰りひろげる爽やかなコラボでした。

緑色の上着を羽織っている長身の女性は、サラ・マクドナルドさん。
音楽堂やすらぎ広場で行われる無料公演の司会を主に担当されていました。

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石川公美さん関連の記事もどうぞ。
石川さんの歌唱は一昨年に初めて生で聴いて以来何度も聴く機会に恵まれて、すっかりお馴染みになりました。

石川さん関連記事:1月・マリンバ奏者との共演

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(後述の直江学美さんと共演)

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②直江学美・黒瀬恵 @ホテル日航金沢 1Fロビー

地元出身のソプラノ歌手・直江さんと、これまた地元出身のオルガニスト・黒瀬さんによる、オールベートーヴェンのミニコンサート。
2人とも、牛首紬に金箔をあしらわれたというドレス姿で登場。

チャペル状のスペースの前には小ぶりのパイプオルガン。黒瀬さんが鍵盤にそって横向きに座ってこれを演奏しました。低い音はパイプオルガンの、高い音はポジティフオルガンのようなかわいらしい音がしました。

ここでもベートーヴェンの歌曲「Ich liebe dich」が演奏されました。
直江さんの歌声は、同じソプラノの石川さんとはまた違った、しっとりマイルドな落ち着いた響き。表情の全く異なるベートーヴェンを聴くことができました。

オルガンは唯一背中を向けて演奏する楽器。
黒瀬さんによると、演奏中は共演者の姿は当然ながら見えないけれど「動きを感じて」合わせることができるのだそうです。独特の感覚があるのでしょう。

ベートーヴェン交響曲第7番・第2楽章に、サラ・ブライトマンがイタリア語の歌詞をつけたという曲も披露されました。
アンコールは、シューベルト「魔王」を日本語の歌詞で。

トークの中では、金沢は、いろんなものとコラボをしやすい、また、それが自然と似合う土地柄であると感じるということを話されていました。

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直江さん関連記事:3月・桂米團治さんとの「おぺらくご」出演

(前述の石川公美さんと共演)

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新垣隆「私とPianoとベートーヴェン」 @石川県立音楽堂 交流ホール

音楽祭の目玉のひとつと言ってもいいでしょう。「あの」新垣隆さんのステージ。
開場前から長蛇の列。大人気!
バスケのコートが3面くらいとれそうな広さのホールにたくさん並べられたイス。そこに座りきれないほどのお客さんが詰めかけました。三方を取り囲む周囲に立ち見のお客さんが多数(200人くらい?)。ワタクシは運良く座れましたが、立ち見ででも観たと思います。そのくらい、新垣さんの叩き出す響きが鮮烈で魅力的なのです。

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前半。新垣さんが少年時代から思い入れのあるという「さらばピアノよ」を演奏。
その曲にまつわる逸話。

 ・ベートーヴェンの死後に発表された
 ・曲名が後からつけられた(ベートーヴェン本人がつけたわけではない)
 ・若い頃に作曲された『と思われる』

それを踏まえて新垣さんが音楽の勉強を進めていくに連れて見えた見解。

 ・音の使い方からして、若い頃の作品とはどうも思えない
 ・和音の指使いからして、ベートーヴェンが作ったものではない

「カッコつきの」ベートーヴェンに対して今とても感謝している、というオチで締めるという自虐ネタに会場内にはドッと笑いが巻き起こりました。

「さらばピアノよ」は、こんな曲です。


さらばピアノよ 楽譜 FAREWELL TO THE PIANO Beethoven

後半では、前半とはうって変わって、これぞベートーヴェン!という(笑)、ベートーヴェンの本質がよく現れているという曲を、それはもうしっとりと美しく。澄み切ったピアノの音色を聴かせてくれました。

アンコールには「さらばピアノよ」を再び。こいのぼりの童謡のメロディーを仕込んで会場を和んだ笑いに包みつつ、ベートーヴェンの「悲愴」第2楽章の有名なメロディーも実に自然に滑らかに仕込む。新垣さんの生真面目な態度の脇に見え隠れする洒脱なユーモアのセンスと懐の深さをひしひしと感じるよいステージでした。

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④風と緑のカルテット @石川県立音楽堂 交流ホール

石川生まれの坂口さんと渋谷さん、富山生まれの高田さんと福野さん、現在は金沢を拠点に活動をしている若手演奏家4人による、この音楽祭のために結成された弦楽カルテットのステージ。

青島広志さんのオネエ風の司会によって軽妙にステージが進行しました。
鋭い観察眼に裏打ちされた、まったく淀みのない瞬間的なキレのいいトークを繰り出す青島さん。演奏者4人が浮かべていた、トークによってリラックスしたのか余計に緊張したのかわからないような笑みがなんともおもしろかったです。

ベートーヴェンの二面性、
 音楽に気持ちや感情、物語を込める「語り部」(ロマン派)
 自分の気持ちに関係なく曲を作って仕上げる「職人」(古典派)
…を打ち出した構成。

特にラズモフスキー第3番の第4楽章。
初めて聴きましたけども、エキサイティングでおもしろい!
爽やかで溌剌としたテンポの良い演奏が印象的でした。とてもよかったですね。

アンコールには「エリーゼのために」の弦楽カルテットバージョン。
静かに締められました。

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⑤北川聖子・多田由実子・細川文 @ANAクラウンプラザ金沢(ザ・ステージ・アクア)

多田さん(フルート)・地元出身の箏奏者(生田流宮城杜大師範)である北川さん・細川さん(チェロ)による、異色のトリオアンサンブル。
オールベートーヴェンのピアノ・ソナタ特集。
第20番、第8番「悲愴」、第14番「月光」、第17番「テンペスト」。

3人ともピアノの楽譜を使って少しずつ試しながらアレンジをしていったとのことでしたが、洋楽器と和楽器の組み合わせも含めて全く違和感を感じさせない、それでいて独自の雰囲気を醸し出す、1日の締めくくりに相応しいしっとりとしたミニコンサートでした。

箏は曲の調に合わせて毎回琴柱の位置を微調整する必要があるため、複数の曲を連続して演奏することは難しいそうです。だから曲の間はトークを挟みます、ということで、多田さんが演奏のことを中心に優しい語り口でトークを進めていました。
ベートーヴェンは大のコーヒー好きで必ず豆を60粒数えて淹れたこと、他人にもそれを強いたというエピソードも話されていました。

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おまけに…

北川さん・多田さん・細川さんのミニコンサートの前には、石川さんがミニコンサートをしていました。音楽堂やすらぎ広場でのお昼のステージでは爽やかな空色のワンピースをまとっておられましたが、ここ全日空ホテルではとてもゴージャスなドレスを。
場所と時間帯に合わせたのでしょう。こういうところもまた楽しみのひとつです。

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無料公演であっても、これだけ質の高い演奏を聴くことができる。
そして、無料公演だからこそ、異色のコラボ、そして各演奏者の柔軟な力量をまざまざと感じることができる。こちらにはこちらの得難い魅力があることをひしひしと感じた、そんな一日を過ごすことができました。

2日目以降への期待が俄然高まりました。