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福井ではじめて「刀身彫刻」の精緻な技を見た!

日本刀に施す彫刻『刀身彫刻』を観るために福井へ出掛けてきました。

3月、樂雅臣さんの彫刻展を観るために県立美術館へ行きました。
そこで、石川県をはじめとした各地の美術館で開催される展示のチラシが置かれている中で、たまたまそこにあった刀身彫刻のチラシに目を惹きつけられました。

rcs4naruki.hatenablog.com

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このチラシを目にするまでは刀身彫刻の存在を全く知りませんでした。そもそも今まで、日本刀に特に興味を示したことはありませんでした。だけども、チラシの表裏を少し見ただけでも...これはすごい。きっとおもしろい。実物の美しさを観てみたい。福井ならまあ気軽に行ける範囲やん...行ったらいいやん。
またまたそういう衝動だけで行くことに決めました。

チラシを見たらば、学芸員による展示解説あり、金工師による実演あり、講演や女子会のイベントあり...よくよく見ていくと、展示解説と実演の両方が同地に開催されるのが4月9日だけ。この日に予定を埋めました。

 

金沢市内から高速道路を飛ばして一気に福井市内へ。
福井市立郷土歴史博物館。はじめて来ました。
空は一面のグレー。肌寒い空気が吹くなかでも桜はまだ満開をキープ。

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館内に入り、2階の企画展示室へ。
福井県出身・在住の漫画家、かまたきみこさんの手による大きなイメージイラストがお出迎え。冒頭のチラシのイラストもかまたさんの作品。
展示室内には漫画作品「KATANA」の複製原画のコーナーも併設されていました。

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展示室内には40点あまりの長刀・短刀・槍先のかずかず。
ひとくちに刀身彫刻と言っても、簡素なパターンの彫り込みから複雑な造形まで。
約1時間にわたって学芸員さんの解説を聞きながらじっくりと鑑賞。疲れました...。

刀身彫刻とはどういうものかは、はじめて見ただけのわたしがグダグダ語るよりは、館の解説チラシに書かれている端的な説明をご覧いただくほうが間違いなく理解が早くて正確でしょう。わたしも今はまだ理解を進めながら、というところであります(汗)。

まずは、刀身彫刻とは何ぞや、というところから。

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彫刻のおおきさ。画面上のほうの丸いのは一円玉。
如何に細かく鋭く繊細な彫刻であるかがおわかりでしょう。

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どのような彫り込みがあるのかというところも、おおかたチラシに説明がありました。
石川県立美術館蔵の刀があったり「倶利伽羅」を彫り出したものもあったりと、石川県にも浅からぬゆかりがあることに驚きました。
全然知らなかった...けど、意外な大収穫!

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刀に彫刻を施す職人は、当初は陽の当たる存在ではなかったそうです。
あくまでも刀本体を創り出す刀鍛冶だけが名を残すという時代が長く続いた後、桃山時代になって、刀鍛冶と金工師(彫刻を施す職人)との分業であることが明確にされて、金工師刀鍛冶と並んで名を残すようになったということです。

その他、チラシに掲載されていない、特徴的な刀にはこういうものがありました。

 刀身に「おそらく」と平仮名が彫られている短刀。
 「おそらく造り」というそうです。

 表側に錨、裏側に楫(かじ)が彫り込まれているもの。
 「怒りに勝つ」と掛けられているとか。

 日露戦争で出征に使われた軍艦「三笠」に据え付けられていた
 戦闘で破壊された砲身の鉄を鍛えなおして作られた刀剣。

 長さ80cmもの巨大槍(石川県立美術館蔵)。
 槍穂の半分に渡って倶利伽羅の緻密な浮き彫りが施されている。見事。

 表に竹、裏に梅が美しく(見ようによってはかわいく)彫られた越前彫。
 倶利伽羅不動明王、大黒天が彫り込まれている刀も存在。

 

彫刻の工程は主に6つ。
 1.下絵
 2.絵付け
 3.アタリ(輪郭を彫る)
 4.荒削り
 5.ウロコ彫り
 6.完成

 

岡山から金工師の方が来られて、別室で実演をされていました。
わたしと同い年の金工師さんが見るからに繊細な手つきで彫りを入れておられました。

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これが「タガネ」という彫り道具。こういう道具もすべて手造り。
数百種類のタガネがあって、一度使ったらもう使わないものも存在するそうです。
この刀剣にこの彫刻のこの部分を彫るためだけに作ったタガネ、というものがあるということですね。職人さんの陰の努力。感服します。

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刀鍛冶さんが鍛えた貴重な作品である刀に彫刻を施すわけなので、失敗は100%許されないとのこと。一度アウトプットしてしまったらもう取り返しがつかないという点では音楽にも相通じるところがあると感じました。