Naruki.K's Radio Head

Transmitter! Picking up something good. Hey! Radio head! The sound...of a brand-new world♪

2016/10/27 Free Range Emsemble

※旧ブログ記事を加筆訂正しました。

オーケストラ・アンサンブル金沢のメンバーの
ヴァイオリン奏者と、ゲストのピアニストによる
演奏会。

大好きな曲、J.S.バッハの
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番」が
生演奏で聴ける!

という、その一点で観ることを決めたというのが
そもそもの動機でしたけども、それ以上の新しい
刺激と興奮を得られた、単に「音楽に浸って
心地よい音色に癒される」という感覚とは
全く異質の、刺激に満ちたひとときでした。

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まずはお目当てのバッハを。

無伴奏という名の通り、
全編ソロヴァイオリンで繰り出される濃密な空間。
ヴァイオリン1本だけで複数の声部を
(それも3声も4声も)パラレルに再現すると
いう、カノンやフーガといった
対位法のゴッドファーザー、バッハならではの
途方もない音楽実験。

 対位法:
 同じ構造を持つメロディ同士や異なるメロディ同士を
 複数の層に重ねて、
あるいは幾分かずらして
 同時進行させてひとつの流れに調和させる作曲技法。

バッハという人は、これをヴァイオリンだけでは
なく、チェロでも、果てはフルート(!)でも
やっている…。

ここでの演奏はまあ無難にといったところ。
普段CDで聴いている演奏が途轍もなさ過ぎる
もので(しかも何種類も)、それに馴れ切って
しまっているせいか、やや薄味に聴こえてしまう
のは致し方ないところですが…
2箇所ほど音を抜かしてしまったことにも
気がついたものの、そう気にはしないで
おおよそ安心して聴くことができました。

300名収容の小規模ホールの最前列で、
奏者との距離が約2メートル程度という
かなりの砂かぶり位置で、手元の動きをも
よく見ることができたところが
とても楽しかったです。

特にフーガで複数の声部を再現するときに、
弦を押さえる左手の動きが
単旋律を奏でているときとは明らかに違う
それだったのがとても印象的で、
ギターでコードを押さえるのに近い動きを
より細かい単位で微調整する、
その連続体と言えばよいのか。
そういうところがまた興味深かったですね。

そして日本人作曲家の作品へ。
池辺晋一郎さんの作品を2つ。
トークではしょーもないダジャレを
低音ヴォイスでカマしまくる
すっとぼけたおっさんという風情の池辺さん。

春のラ・フォル・ジュルネ金沢でのステージでは
そのダジャレトークと比較的親しみやすい響きの
即興演奏をビアノで繰り出していた印象があって、
そう小難しくない作品なんだろうと
なんとなく予想していたところが…

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音が鳴り出した途端。
あまりのインパクトに耳がビビりました。
ばりっばりの現代音楽的な、
普段耳にしている音とは全く異質の響き。

正直言ってどの辺りがメロディーなのか、
どこからどこまでがテーマで
どこからが展開部なのかさっぱりわからず、
曲の構成を全然掴むことができなかったの
ですのけども、2本のヴァイオリンの対話、
ツバ競り合い、丁々発止。呼吸の交換の応酬。
西洋の音階、音作り(と自分が感じている
イメージ)を逸脱した、東洋の響き、
さらには無国籍な、世界にかつてない響きを
西洋の楽器で再現する挑戦というのか…
音楽を奏でているというよりは、
これは剣術の演舞を見ているような感覚に
近いんじゃないかと。

最後の一音を擦って弓を一気に振り下ろした
瞬間の所作なんかは、演奏というよりも
これは演舞だと…。

そんなふうに変にテンションが上がってしまって、
途中からそういうモードに頭を切り替えて
観てました。

そして…クラシック音楽演奏家
途轍もない精神性、普段の精進の次元の高さ、
そういうものを演奏している姿から
ひしひしと感じられた気がしました。

有名曲や昔の曲を滑らかに演奏することは
当たり前、その先に、それまでになかった
新たな響きを如何にして自分のモノとして
奏でられるのか、そういう領域に
日々挑戦しているのだということが
朧気ながらも見えた気がしました。

曲の内容を理解できたとは
とても言えないながらも、
そういう新たな感覚を体験できたという意味で
興奮に満ちたひとときでした。

最後は、別宮(べっく)貞雄さんの作品。
こちらが事前に全くの知識も耳もなく予測不能
先入観すらない状態で聴きました。

全体的にはダークで重厚な感じの音楽でしたが
意外とこちらの方がメロディーも構成も
比較的わかりやすくて、若干力を抜いて
聴けました。
ヴァイオリンとピアノ伴奏という
オーソドックスな楽器構成だったということも
あったかも知れません。

バッハでのカッチリと構成された音楽。
池辺さんでの既成の音楽を超えた独特の感覚、
その中間点といったら良いのか、
やはり現代音楽はこれまでにない可能性を
切り拓く側面があるものなのだなあと。

普段聴くには小難しすぎてしんどいけれども、
こうやって生演奏で、楽器と演奏法の
新たな可能性の誕生に立ち会うという興奮を
得られるという意味ではとても有意義な瞬間で、
音楽が好きでほんとうによかったと
こういうときにも実感したのでした。

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   *    *    *

バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番。
10分ほどの長大なフーガもとても素晴らしい
ですが、特に終曲「アレグロ・アッサイ」が
大好き。

日本のバロック・ヴァイオリンの第一人者・
寺神戸亮さんによると『連打される祝祭の鐘』。
重く朴訥とした釣り鐘というよりは
Tubeller Bells...チャイムの軽やかな乱れ打ち。
ヤッシャ・ハイフェッツさんの一音たりとも
揺るがせにしない隙のない硬質な演奏。


Jasha Heifetz Bach Sonata C major Allegro assai

現代のバロック・ヴァイオリンによる古楽演奏
草分け、シギスヴァルト・クイケンさんの
2度目の録音で初めてこの曲を聴いたとき、
この動画の演奏とは違って
もっとエコーが利いた録音だったせいか、
とても一本のヴァイオリンで演奏されているとは
信じられない思いをしたものでした。
この音の絡みの連続と軽やかさは一体何だ、と。

ポピュラーなヴァイオリン小曲とは全く異質の、
複雑な建築物を構築するかのようなこの感覚。
この曲は実は意外と比較的単旋律の連続ですが…
それでも、楽譜の配置と流れの美しさ。
そういうものを少しでも感じてもらえると
とても嬉しいですね。

 

バロック・ヴァイオリンによる素晴らしい演奏を
発見。イザベル・ファウストさん。
スピーディーで鮮烈!


Isabelle Faust Allegro assai bwv 1005

 

クラシックギターの演奏による『祝祭の鐘』。
エネア・レオーネさんの演奏によるクリアな演奏。
動画の美しさも特筆モノ。
演奏姿の美しさもさることながら、
弦が弾かれたときの振動に注目。


Enea Leone plays for Gruppo Aturia Bach allegro BWV 1005