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「42~世界を変えた男~」マイノリティの毅然たる勇気

昨晩、ものすごく久し振りに、テレビ(BS放送)で映画をほぼ全編通して観た。

「42~世界を変えた男~」
黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソン氏の物語。

ジャッキー・ロビンソン
黒人で初めてメジャーリーグの野球チーム、ブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャー)でプレー。周囲の冷たい目線や人種差別の硬い壁を乗り越えて大活躍をした末に、野球史上にその名を残した偉大な選手。
近年では、メジャーリーグ新人王にあたるルーキー・オブ・ザ・イヤーに「ジャッキー・ロビンソン賞」という別名がつけられ、彼がつけた背番号「42」メジャーリーグ全30チーム(おそらくマイナーリーグ各チームでも?)の永久欠番になり、彼がメジャーデビューをした4月15日はジャッキー・ロビンソン・デー」と制定され、この日の試合では全選手が背番号42のユニフォームで出場する。


映画『42~世界を変えた男~』予告編

その映画から見えたものは
『マイノリティの勇気』『その勇気を支えるマジョリティの勇気』

 「目には目を、歯には歯を」の考えに与せず闇雲な憎悪の連鎖を断ち切る。
 それには「実力」「結果」「実績」それ自体で存在を証明すること。
 どんな恨み辛み、妬み嫉みという逆風に晒されようとも
 紳士的かつ毅然とした態度を貫き通すこと。

 マジョリティの心ない反応、
 マジョリティがうすぼんやりと持っている狭量な固定観念
 マジョリティが有耶無耶のうちに陥る浅はかな付和雷同や迎合、
 そういうものを見返すには...。


日本人のおおかたに、同じ日本人にすら、当初は「通用するはずがない」と闇雲に叩かれた、日本球界を飛び出して奇しくもジャッキー・ロビンソンと同じドジャースの一員になり、デビューするや否やあっと言う間に雑音を発する外野を黙らせた、日本人メジャーリーガーの実質的なパイオニア野茂英雄さん。
どこまでも寡黙な彼は、その実力と圧倒的な実績だけでプレーヤーから尊敬され、ファンに愛される存在になった。
そして今日、WBC準決勝が開催されたドジャースタジアムドジャースのホームグラウンド)で彼が始球式を。傍らには当時の監督・ラソーダ氏の姿も。

その後、日本人野手として初めてメジャーリーガーとなった、新天地でチームメートとなったある黒人選手に「ここはメジャーだ。通用するはずがない」とこれまた雑音を言い放たれながらも、試合に出場するごとにその際立った実力を存分に発揮してチームに必要不可欠な存在になった「イチロー」。
(その後その黒人プレーヤーはお詫びをしたようです)
彼は今や押しも押されもせぬメジャーリーグ史上に残るトップクラス選手の一人となった。

彼らはどちらも一年目のシーズン終了後に「ジャッキー・ロビンソン賞」を獲得。
さらにイチローは、メジャー一年目にして首位打者盗塁王のタイトルを獲得。
首位打者盗塁王の同時獲得は、奇しくもジャッキー・ロビンソン以来52年ぶりの出来ごとだとか。

 

さらに時代はめぐりにめぐり...これほど華やかなステージではないにしても。

男性選手の中に混じってプレーすることにこだわり続けて、日米の数々のチームを渡り歩き、近年は日本の独立リーグでプレーを続けている女性ピッチャー・吉田えりさん。
中学の野球部を引退した後、体格や力では明らかに劣る相手に対抗するために、投げた本人にもどのように変化するかがわからない変化球「ナックルボール」を身につけることを発想し、実践して、今もなお男性の打者に対峙する。

素晴らしいボールを投げ込むことはあっても、数値として見える成績はなかなか伴ってこない。
一時期過熱したネット上での醜悪なバッシング。
彼女が昨年まで在籍していた、独立リーグ石川ミリオンスターズ」が主に試合をする金沢の野球場の客席スタンドからですら聞こえてきた心ないヤジ。汚い中傷のセリフ。挙句の果てには彼女の投球に抑えられた男性打者に対する中傷。

そういうものが彼女の目や耳には全く届かなかったということは恐らくないだろう。
それでも、自身が投げるナックルボールの、無回転ボールの縫い目が見えるが如くクリアな視界を保ち続けて、気まぐれに蛇行する投球の軌道の如く逆風をのらりくらりとかわしていく、文字通りそんなものはどこ吹く風と言わんばかりに、あくまでも朗らかに振る舞う気丈な姿。どこまでも自分の歩きたい道、信じる道を進み続ける姿。
彼女は今年から新チーム「栃木ゴールデンブレーブス」でプレーを続ける。

 「黒人なのだからニグロ・リーグでやってろ」
 「東洋人はメジャー・リーグで通用しない(だからそっちのリーグでやってろ)」
 「女なのだから女子プロのリーグでやってろ」

 言っていることの本質は全部同じ。

 

マイノリティの挑戦・活躍。前人未到の地を開拓。素晴らしいこと。
しかし、彼ら、彼女らひとりの力だけでは決して事を成し遂げることはできない。
いや、事を成すステージに立つことすらできない。

だから...

マジョリティはそのような存在を認めて受け入れる勇気を。
臆せず一歩踏み出そうというマイノリティの存在とその勇気に力添えをする勇気を。

 

そして自分だって、ある立場ではマジョリティ。別の立場ではマイノリティ。
両方の勇気を、静かに、熱く、臆せず、発揮しなければ。

「相手の低いレベルに自分を落とすな」