Naruki.K's Radio Head

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2017/01/20 神谷紘実マリンバリサイタル

※旧ブログ記事を加筆訂正しました。

マリンバの演奏は
それほど多く聞いたことはありません。

若かりし頃に、別の奏者によるクラシック曲の
アレンジを収めた盤を2枚ほど聴いたくらい。

そちらでは、ドビュッシーアラベスク第1番、
サラサーテツィゴイネルワイゼンなどが
聴けたりして、それはそれで楽しかったのですが、
常にそばに置いて愛聴していたいと思うほど
強い印象にまでは当時は残りませんでした。

そのCDは、いつぞやの所有盤大整理のときに
手放してしまって、今は手元にはありませんた。

そういうこともすっかり忘れてしまっていた昨今。
コンサートを物色しているときにこの公演を発見。

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愛知県出身のマリンバ奏者・神谷紘実さんによる
マリンバ演奏。
福井県出身のマリンバ奏者・山崎智里さんと、
石川県出身のソプラノ歌手・石川公美さんとの
共演。

2台のマリンバ
そしてそれをバックに歌われるうた。
さて、この組み合わせで
どのような響きを聴くことができるのか?
そういう好奇心に突き動かされれて
行ってまいりました。

会場は、昨年の地元開催コンサート行脚開始以来
すっかりお馴染みの「金沢市アートホール」。
300人収容規模のやや小ぶりなホール。

今回は地元高校生がチケットのモギリや
受付のボランティアをしていたり、
何十人もの高校生が入場してきていたり…
あの高校ではマリンバが盛んなのか?と
思ったりもしましたが、事情のほどは
わかりませんでした(汗)。

そして今回は、なぜか最前列の席に
ヒモが張られていて座れなくなっていたため、
2列目に陣取りました。

開演直前にVIPを招くのか?と思いましたが
結局最後まで空席のまま…なんでだったんだろう?

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それはともかく…
これが木片を叩いたときに出る音か?
こんなシンプルで原始的な打楽器から
これほどまでに繊細な響きが出せるなんて。

開始直後からそういう驚きの連続でした。

静寂から木片を叩く音が
いつから響き出したかともなく、
穏やかに穏やかに響き出す。

まるで水面に枯れ葉が一枚舞い降りて
滑り流れ、弱い波紋が広がるかのような、

地面に落ちていた羽毛が微細な風に吹かれて
空中を舞い始める瞬間のような…
はたまた、その空気の流れが止まって
羽毛が地面に触れた瞬間…のような。

そのあまりの響きの繊細さ、静寂と弱音の狭間。
そのあたりに最も身震いするスリリングさを
感じたコンサートでした。

とにかくソフトな音の立ち上がり。
弱音の柔らかく透き通った質感。
ミルト・ジャクソンヴィブラフォン
思い起こしました。

木と金属。マテリアルはまるっきり違いますが、
叩き出されるタッチの柔らかさは相通じるものを
感じました。

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マリンバソロによる、有名なクラシック曲、
トロイメライパッヘルベルのカノン。
原曲はピアノや弦楽アンサンブルで
演奏されますが、特にトロイメライを奏でるには
むしろピアノよりもマリンバで演奏するほうが
適しているんじゃないか?と感じるほどでした。
こちらのほうが実にしっくりくる。
カノンの響きもお馴染みのイメージどおりの演奏。
実に優しく美しかったです。

石川県出身の作曲家による「ハトオト」という曲。
作曲者ご本人が登場して、神谷さんとの出会いの
きっかけや曲の解説を。
ご本人曰く、ロックやポップスの要素を
盛り込んだとのことでしたが、
ジャズに近い印象が強いように感じました。
現代音楽っぽい難解さはなく、マリンバの魅力や
可能性がとてもわかりやすく引き出された曲
だったように思えました。

外国人作曲家による
「ラブソングス」「ディパーチャーズ」。
こちらではオーケストラ曲の如く
壮大でドラマチックな響きが楽しめました。

特に前者では石川公美さんの、ソプラノとしては
比較的低めかと感じた声域を中心に、各楽章で
表現された場面の起伏を豊かに表現したうたに
よって、現代風オペラと呼んでもよさそうな
一幕を堪能できました。

石川さんがラップを披露する場面もありました。
クラシック畑のソプラノ歌手がラップ!
貴重なものを聴きました。

後者もマリンバデュオによる
豊かで深い音の絡みを楽しめました。

「雪の降るまちを」「4132」
両方ともソプラノとマリンバとの競演。
実に好対照な別世界が展開。

前者では冬の雪景色を叙情的に表現。
哀しいうたと繊細なマリンバの響きによって
丁寧に描かれる情景。

後者では実験的で複雑な、衝動的な響きの
スリリングな絡み。
歌詞がすベて「one」「two」「three」「four」
各単語が散りばめられているだけ。
歌手だけでなく、2人のマリンバ奏者も
演奏しながら声を出す。
足踏みのアタック音を響かせる。

緻密に構成されていることは雰囲気で
よくわかるのですが、即興で音楽を新たに
紡ぎ出した瞬間であるかのような場面も
ところどころに散りばめられたかのような、
とてもスリリングな響きを体感できました。

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終演後、ホールを出てロビーで談笑する出演者の、
あまりにも「そこら辺のフツーのおねえさん」な
表情と口調、そして仕草を、とても微笑ましく
見やりながらその場を後にしました。

アンケートを記入しているときに
至近距離にいた石川公美さんが、
ステージ衣装のゴージャスなドレス姿のまま
ベッタベタな金沢弁丸出しでどなたかと
会話をしていたのがとても可笑しくも
可愛らしかったです。

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素晴らしい技量をもった音楽家の実力と、
ステージを離れた後の素顔。
どちらも近くで感じることができる、
こういう地元のやや小規模のコンサート。

こういうところもとても魅力的で、
かつ重要な醍醐味です。